
日本人は平均して男女共に亜鉛不足ですが、女性にとって亜鉛が不足すると不妊症や赤ちゃんの成長にも大きく影響します。
また、閉経後には更年期障害や骨粗鬆症などにも亜鉛は大きく関与しています。
以下は、厚生労働省が発表している女性の亜鉛の1日推奨量と2004年に京都大学などが調査した実態の比較です。
女性
|
亜鉛1日推奨量
(厚生労働省) |
実態(2004年)
京都大他・発表 |
---|---|---|
1~2歳児 | 4㎎ | |
成人女性 | 9㎎ | |
妊婦 | 11㎎ | 4.7㎎ |
授乳婦 | 12㎎ | |
女子大生 | 9㎎ | 3.7㎎ |
主婦 | 9~12㎎ | 5.6㎎ |
このように、日本女性のほとんどが亜鉛不足だという実態が明らかになっています。
妊娠するまでの亜鉛の働き

ご存知のように、不妊症に悩む方は増加傾向です。
その理由の一つとして考えられているのが、亜鉛不足によって女性ホルモンの分泌能が低下しているということです。
また、亜鉛不足により卵子の老化が進み活動も低下し、着床し難くなることもあります。
このような場合には、亜鉛を摂取することで女性ホルモンの分泌を促し、卵子の活動を活発にし着床がしやすくなります。
妊娠してから出産までの亜鉛の働き
妊娠するまでも亜鉛は必要とされますが、妊娠してから出産までも亜鉛が不足することのないよう注意が必要です。
亜鉛は羊水に多く含まれ、羊水の抗炎症や抗菌、抗酸化力を高めて胎児の成長に大きな影響を及ぼしていることがわかっています。
また、羊水中の亜鉛不足によって発育障害や奇形を起こす危険性が高まることが報告されています。(日本栄養・食料学会監修 「亜鉛の機能と健康」より)
へその緒を通じて胎児に供給される栄養素は、脳の発達のために最優先で使用され、あまった栄養素がそれ以外の体作りにまわされます。
栄養素の中の亜鉛の割合は高く、それらの栄養素が体作りに不足すると、心臓を作る筋肉細胞の量が少なくなり、成人前後からの心臓病や高血圧の発症が増大するといわれており、妊娠中のミネラルやアミノ酸の補充は胎児の生後の健康に大きく関与しているのです。
出産してからも大切な「亜鉛」
乳児期にも亜鉛摂取が必要とされており、以下のよう理由があります。
- 初乳は亜鉛が多く含まれているので乳児の免疫獲得のためにもとても大切。
- 3週間後には母乳の亜鉛が減ってくるので、お母さんは亜鉛をいつもより多めに摂る必要がる。
- 人工粉ミルクには母乳より亜鉛が多いので上手く利用する。
日本人の母乳における母乳中の亜鉛濃度の推移

泌乳器(日)
|
母乳亜鉛濃度(㎎/dl)
|
---|---|
1~5 | 472±248 |
6~10 | 384±248 |
11~20 | 337±89 |
21~89 | 177±108 |
90~179 | 67±80 |
180~365 | 65±43 |
このように、初乳から3週間で母乳に含まれる亜鉛は急激に減ります。
以上、亜鉛と妊娠から産後の関係についてでした。