貧血とは、文字通りに読むと「血が乏しく足りない」ということですが、人の場合一般的に「血液が薄くなっている状態」のことを言います。
医学的には、血液中の赤血球数と赤血球容積率、そしてヘモグロビン濃度が減少して基準値未満になった状態として定義されています。
ここで改めて、「血液」ついて説明します。
血液の成分と役割
- 血球成分(細胞性成分、血液細胞)45%
- 赤血球96%
- ヘモグロビン(鉄を含むタンパク質)
- 白血球3%
- 血小板1%
- 血漿(けっしょう)成分(液性成分)55%
肺からの酸素を取り込み、体中の細胞に酸素を運んで供給し、二酸化炭素の排出にも関わる。
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顆粒球である好中球と好酸球と好塩基球、そして単球とリンパ球の5種に分類され、殺菌作用や免疫機能に作用する。
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血管が損傷した時に集合してその傷口をふさぐ(血小板凝集)止血作用を持つ。
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水分91%、タンパク質7%で、その他に脂質や糖類、無機塩類を含み、血液細胞や栄養分、ホルモンや老廃物の運搬、体内恒常性の維持や血液凝固、免疫機能を持つ。
このように、血液は酸素を運ぶだけではなく、栄養やホルモン、代謝産物の運搬や調整、そして体温調節などを担い、人間が生存するために不可欠なものなのです。
貧血の概要
貧血は、血液の40%以上を占める赤血球のヘモグロビンが減少することで血液の酸素運搬能力が低下し、その結果、臓器や組織が低酸素状態になることで起こります。
特に、毎月の生理によって血液を失う女性は約1割が貧血であるともいわれています。
貧血と判断される基準値は「ヘモグロビン濃度」で測られ、研究機関や検査施設によって若干異なりますが、男性で13.0 g/dl、女性で12.0(あるいは11.5) g/dl程度とされています。
症状としては、動悸や息切れ、倦怠感や体の各部の蒼白などがありますが、貧血が徐々に進行した場合、体が低酸素状態に慣らされるため、かなり強い貧血になるまで自覚症状がほとんど無いこともあります。
貧血は、鉄分の必要量が多い思春期の女性や妊娠中に起こりやすいのですが、慢性出血が原因の場合もあり注意が必要です。
次項以降で、もう少し詳しく貧血について解説します。