前回の続きです。
月経は「天癸・臓腑・気血・経絡」が協力して行う作業でした。
その経絡でも特に月経に関わる脈は衝脈・任脈・督脈・帯脈です。
前回は衝脈・任脈について書いていきましたので、今回は督脈・帯脈について書いていきます。
督脈
経絡には~脈と付きますが、それにはきちんと意味があります。
督脈の督は総督・総括なんかの意味を持っていて、
陽経を監督するのでこの様な名前になっており、「陽脈の海」とも呼ばれます。
衝脈・任脈・督脈はみな胞中より出ているおり、一源三岐と言われます。
督脈の循行は「内経」「難経」の記載によると主幹+3本の支脈があります。
流れ①(主幹):下腹部の内腔→会陰部→脊柱の内部を上行→後頚部に達すると風府穴から脳内に進入し、脳と連絡→頭頂→前頭部の真ん中に沿って鼻柱の下方に達し、齦交穴に至って止まる
流れ②(支脈):衝任脈と共に子宮から起こって会陰部に出る→尾骨尖端で足少陰腎、大腿内側で主幹と合流→一緒に脊柱を貫通し、腎に出て属する
流れ③(支脈):下腹内腔→直上して臍を貫通→心を貫いて上がる→咽喉に達して任脈・衝脈と合流→下顎に上がり、口唇を回って両目の下中央に達する
流れ④(支脈):足の太陽膀胱経と共に目の内̪眦から起こる→前額部を上行して頭頂部で交わり、脳に入って絡まり、後頚部に出る→肩甲骨の内側に沿って脊柱の両側を行く→腰中に達して脊柱両側の筋肉に入り、連絡する
督脈の婦人科疾患では、督脈陽虚証が存在します。
督脈陽虚証になると、生殖機能が減退し、宮寒不妊になります。
この状態を表すサインは、
・背脊が冷える
・子宮が冷えた感じがする
・全身冷え
などです。
他にも督脈・衝脈・任脈は大元が同じで密接な関係にあるので、督脈空虚証→衝任虚損に発展する事もあります。
帯脈
帯脈の帯は「腰帯」の意味で、腰と腹の間を横に走行し、腰の全身の縦に行く経脈を束ねます。
一例をあげると、この帯脈が病んでしまう帯脈不固証と言う証があります。
この状態になると、帯脈の束ねる力(約束固摂)が悪くなるので、生殖器系統の病変が表れます。
帯下・子宮脱・滑胎(胎児が下りる)などが表れます。
漢方薬に含まれる生薬には、下の方を固摂するものがあるので、このパターンではそういったものを組み合わせて治していきます。