人参について

人参ってどんなもの?

漢方薬はもちろん、最近では当たり前の様に市販の栄養ドリンクにも良く入っている生薬です。

身近だからこそ知っておくと価値がある生薬です。

今回は

①人参とはどんなものか? ②人参の効果 ③人参の合う人・合わない人

についてご紹介していきます。

人参ってどんなもの?どんな効果があるの?

人参にも沢山種類があるのでまずは分類分けを行います。

まず、大分類として、

野生で採れたもの…野山参 栽培して採れたもの…園参(養参)

これは養殖もの・天然ものの違いですが、市場に流通しているものはほとんどが園参です。

薬効は野山参の方が良いとされています。

続いて品種です。

お店で良くある質問が「スーパーで買えますよね?」ですが、恐らく多くの人がイメージしている薬効の人参は買えません。

スーパーで売っているものの多くは五寸人参と言われ、ジャンルは西洋人参です。

西洋人参は(寒性、補気陰、苦・微甘 心/肺/腎)の性質を持ち、熱中症の時などに最適な生薬となります。

漢方薬では「人参は元気をつけるもの」とのイメージが一般的ですが、これはオタネニンジンの事で、中薬学の本などでもシンプルに人参と表記されます。

一般の栄養ドリンクに配合される事も多く、大補元気と言われるほどの補気力を持ちます。

人参は(温性、甘、微苦、心/脾/肺)の性質を持ち、出血・大量発汗など気を大量に失った時でも人参のみで対応できるほどの力を持ちます。(ただし、大量に必要な場合もある)

他にも脾肺心の機能を向上させるので、息切れ・疲れやすい・下痢しがち・精神不安定などの状況にも他の生薬と組み合わせて使われます。

加工方法でも名称・効果に違いが生まれる生薬で、

直接日光にさらして干す…生晒参(平性・気陰両虚に)

竹べらで皮を剥いた後に晒し干し…白参(平性・気陰両虚に・紅参と生晒参より薬効弱い)

蒸してから晒し干し…紅参(温性・気虚や陽虚に)

加工の工程で出る要らない部分…参鬚(一番薬効弱い)

などがあります。

その他にも党参・太子参・田七人参・竹節人参なども存在します。

人参配合栄養ドリンクの注意点と飲まない方が良い人

人参をそのまま手に入れる事も可能ですが、ほとんどの人は使うとしても「人参の入った何か」を服用されると思います。

ここでは比較的に身近なオタネニンジンを主とした栄養ドリンクの使い方を書き込んでいきます。

原則として「疲れ切った時のみ使い、常用はしない」これが大事かと思います。

何故長期服用が危険かと言うと

①カフェイン ②安息香酸Na 主にこの2点の長期服用が身体に害を与えるためです。

①カフェイン

良く売っている栄養ドリンクの多くは人参と同時にカフェインも含みます。

カフェインは体内に入るとアデノシン受容体と結びつき、アデノシンが受容体と結合できなくなった結果脳が覚醒します。

だるさなども取れるので人参の補気作用!と思うかもしれませんが、単にカフェインの作用である事も多いです。

また、多量のカフェイン摂取を続けるとカフェイン耐性が出来る為、段々効きづらくなり、栄養ドリンクの効かない様になっていきます。

②安息香酸Na

多くの栄養ドリンクには合成保存料である安息香酸Naが配合されていますが、これはビタミンcと反応するとベンゼンという発がん性物質に変わります。

ベンゼンは体内で分解されにくく、毎日とっていれば白血病(血液のガン)を引き起こしやすくなる事が分かっています。

 

その他人工甘味料なども配合されているので、人参のメリットを考慮しても身体に害があり、毎日コンビニコーヒー(その場で抽出したものは添加物無し)を気付けドリンクとして摂取している方がまだ良いと思います。

また、慢性的に疲れが抜けない場合は人参のみではなく他の生薬も配合した方が良い場合がほとんどです。

セルフの栄養ドリンクではなくお近くのしっかりした漢方専門の先生に診てもらいましょう。

以上は人参を含む栄養ドリンクの注意点でして、以下は人参自体を服用する際の注意点になります。

①疲労感があっても熱中症やイライラして頭が痛い時などは単独で使わないで下さい。

人参は温性ですので、熱を助長し、熱による症状を悪化させます。

単独で無ければ使用可能で、例えば「白虎加人参湯」と言う熱中症に使える漢方薬もありますが、これは石膏・知母という強烈に冷やす配合と合わせる事で人参の温性の弊害が無くなる事でむしろ役立つ生薬に変わっています。

②舌に厚い膩苔が生えている場合も単独での使用は控えて下さい。

湿濁と言うベタっとしたもの身体に溜まっている状態ですが、人参の粘性はこの湿濁を助長させます。

大体のイメージだと、人参が欲しい場面は基本的に何かが不足している状態です。

しかしこの様な人は食べ過ぎだったりで身体に余分なもの(痰濁)が溜まっている状態ですので、これ以上ネバっとして停滞するものは避けた方が良いです。

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