生薬の解説を行っていきます。
漢方薬は生薬が集まって出来たものなので、生薬一つ一つの理解は選薬する上で必須の条件です。
今回は茴香について書いていきます。
できるだけ噛み砕いたのですが、それでも難しいかもしれません。
ご容赦ください。
また、長くなりそうなので2回に分けて解説します。
それではどんな使われ方をしているか方剤から探っていきましょう。
使用方法① 暖肝煎から分かる下っ腹と精巣痛への効果
暖肝煎と言う方剤があります。
これは「当帰・枸杞子・肉桂・小茴香・烏薬・沈香・茯苓・生姜」
からなる方剤で、下腹部痛・精巣が冷えて痛むなどの症状を治します。
原因として、寒邪が肝脈を侵襲して気機を阻害した病態と説明されます。
この時点で訳が分からないと思うので、まずは肝経の走行を確認しましょう。
上は十四経発揮の図です。
鍼灸指圧自然堂様よりデータを引用させて頂きました。
この図では不足していますが、十四経発揮の内容には
股を循り、陰中に入り、陰器を環り、小腹に抵りて胃を挟み、肝に属し、胆を絡う。
とあり、下腹部への走行が分かります。
寒邪が肝脈の走行経路に影響し、気の流れを阻害しているため起きていますね。
寒滞肝脈とも言われる状態です。
暖肝煎という名前からして処方意図がわかりやすいのですが、この処方の大きな目的の一つは肝経から冷えを取り除く事です。
その中で茴香は、肝脈の冷えを取り除き、気の流れを整えるための君薬です。
いわばプロジェクトリーダーで、「肝脈を寒邪から救う」と言った指令に対して主体的に対処します。
茴香があるからこのミッションが成し遂げられるのですね。
同じ目的で導気湯・天台烏薬散などにも茴香が配合されます。
冷やすとこの様な痛みの症状が出る方は茴香を使ってみても良いかもしれません。
女性に精巣はないので、冷えると下腹部が痛くなり、生理痛が悪化などを指標にすると良いと思います。