糖尿病には「1型糖尿病」「2型糖尿病」「遺伝子の異常やほかの病気が原因となる糖尿病」「妊娠糖尿病」などの種類がありますが、糖尿病全体の約95%を占める「2型糖尿病」の治療方法から説明していきましょう。
2型糖尿病の治療方法
2型糖尿病の場合、食べすぎや運動不足、ストレスなどの生活習慣の乱れと、その結果起こってくる肥満が、発症や病態に強く関係していると考えられ「生活習慣病」と呼ばれています。
生活習慣の乱れや肥満によってインスリンの働きが悪くなり、血糖上昇などの代謝異常を招き糖尿病が発症することから、通常の2型糖尿病の治療としてまず行うのは「食事療法」と「運動療法」によるライフスタイルの改善と、肥満状態の場合にはその解消です。
それでも改善が見られず進行する場合には薬物療法が追加されます。
食事療法
糖尿病治療の基本は「食事療法」で、正しい食事療法を励行することでエネルギーの摂取量が抑えられ、血糖値を下げるために必要なインスリンの量を減らすことができます。
また、同時に肥満も解消されて行き、インスリンの働きをよくすることもできます。
食事療法の方法
- 3食均等に規則正しい食事
- よくかんでゆっくり食べる
- 1日のエネルギー量は、男性で1,400~2,000Kcal、女性は1,200~1,600Kcal
- 糖質(炭水化物)55~60%、蛋白質15~20%、脂肪25%の栄養配分
適切な食事療法を実践するには、『糖尿病食事療法のための食品交換表』(日本糖尿病学会編、文光堂発行)を使用するのが便利です。
また、病院での栄養指導を受けたり糖尿病教室を受講したりして、自宅で実際に食品を計量することが大切です。
外食や総菜などについては、出来値限り栄養表示のあるものやお店を選び自分で管理する必要があります。
アルコールに関しては、合併症や肝障害のある人は禁酒ですが、そうでない場合でもできる限り制限すべきでしょう。
運動療法
運動療法は、食事療法と同様に糖尿病の基本となる治療方法ですが、始めるにあたっては主治医と相談し指導を仰ぐことが必要です。
運動療法の主なポイントとして以下のような事が考えられます。
- 場所を選ばずひとりでできる運動を毎日同じだけ行う
- 運動は1日30分が目安(朝晩2回に分けても良い)
- 運動の強さは、きつすぎず、楽すぎず
- 食後1~2時間後に行う
- 運動日誌をつける
薬物療法
食事療法と運動療法を2~3カ月励行しても血糖コントロールができない場合は、薬物療法で血糖値の改善を図ります。
主な薬物療法には、血糖を下げるための「血糖降下薬」という飲み薬と、インスリンがほとんど分泌されない人や不足の人のためのインスリン注射があります。
特にインスリン注射は、不足している、もしくはうまく作用していないインスリンを補い、自分の膵臓を休める役割もあり、最も体に優しい治療法ですから、決して糖尿病がひどくなったから用いるものではありません。
また、薬の有効性を維持し肥満を防ぐためにも、状況に合わせた食事療法と運動療法の継続が大切です。