B型肝炎の概要

B型肝炎
B型肝炎

B型肝炎とは、B型肝炎ウイルス(HBV)に感染することで発症するウイルス性肝炎の一つで、国内でのB型肝炎ウイルス保有者(キャリア)は150万人程度と考えられており、そのうち10%程度が肝炎を発症し、慢性肝疾患となるのはその半分くらいです。

免疫機能が未熟な乳幼児や透析患者、免疫抑制剤を使用している人などがB型肝炎ウイルスに感染すると、免疫機能がウイルスを異物と認識できないため肝炎を発症しないことが多く、そのままウイルスが排除されずに体内に保有した状態(持続感染)になり「キャリア」と呼ばれます。

遺伝子型であるジェノタイプBやCのB型肝炎ウイルスの一過性感染によって発症する急性肝炎ではキャリア化することはあまりありませんが、ジェノタイプAのHBVに感染した場合はキャリア化する可能性が高くなるといわれています。

B型肝炎ウイルス(HBV)の感染

B型肝炎ウイルスは、感染した時期や感染したときの健康状態によって、一過性の感染に終わるもの(一過性感染)と、ほぼ生涯にわたり感染が継続するもの(持続感染)とに大別されます。

そして、B型肝炎ウイルスの感染経路も「垂直感染」「水平感染」に大別されています。

垂直感染とは、
B型肝炎ウイルスの持続感染者の母親から、出産時の産道出血によって新生児が感染する母児感染のことです。

乳幼児期は免疫機能が未熟なため、感染してもウイルスを異物と認識することが難しく、また認識できても排除する能力が弱いためウイルスは肝細胞に住みつき「持続感染」となります。

感染した子供は無症候性キャリアとなりますが、思春期から30歳ごろになると免疫機能が発達し、ウイルスを体内から排除しようと肝細胞を攻撃し始めるため、肝炎を発症します。

しかし、現在では母子感染防止策がとられており、新たな母子感染はほとんど起きていません。

水平感染とは、
接触や飲食物、空気や媒介者などにより個体から個体へと感染することで、B型肝炎ウイルスでは、性的接触や十分に消毒していない器具を使った医療行為、入れ墨やピアスの穴開け、カミソリや歯ブラシの共用、麻薬や覚醒剤使用時の注射器の回しうちなどで感染する場合があります。

水平感染のほとんどは「一過性感染」で、70~80%の人は肝炎にならず自然に治癒します。

残りの20~30%の人が急性肝炎を発症しますが、大部分は治癒します。

ただ、1~2%の人は劇症肝炎を発症し、死にいたる場合もあります。

また、近年増加しているジェノタイプA(GenotypeA)のHBVに感染した場合、肝炎が慢性化する可能性が高くなります。

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