高血圧の状態を放置すると、心肥大や動脈硬化から狭心症や心筋梗塞、脳梗塞や脳卒中など命にかかわる病気へとつながりますから、日頃からの予防が大切です。
また、高血圧だと判断されれば予防ではなく治療が必要となりますが、その治療は予防方法をより厳密に行うことと症状によって薬を用いる方法で行われます。
では、まずは高血圧の予防方法について触れてみましょう。
高血圧の予防方法
高血圧を予防するには「高血圧の原因」で解説した原因に目を向けて改善することです。
高血圧は、原因が特定できない「本態性高血圧」と何らかの特定される原因があって高血圧となる「二次性高血圧」の2つに大別されますが、二次性高血圧ではそれぞれの疾患と高血圧を同時進行で治療します。
本態性高血圧の原因は、塩分の多い食事や飲酒過多、過剰なエネルギーの摂取や肥満、運動不足や喫煙、ストレスや遺伝素因などが挙げられます。
減塩

食塩の摂り過ぎが高血圧の原因と考えられている理由はナトリウムの濃度で、血中のナトリウム濃度が高いと血液中の水分が増え、結果的に体内を循環する血液量も増えることで末梢血管の壁にかかる抵抗が高くなり、血圧を上げてしまうと考えられています。
ただし、この食塩による血圧上昇の程度(食塩感受性)には個人差があって、食塩を多くとってもほとんど血圧が上がらない人もいます。
また、家族に高血圧の多い人や高齢者では食塩を多くとると血圧が上がる人が多いようです。
現在の日本人は1日平均11~12gくらいの食塩を摂取していますが、日本高血圧学会のガイドラインでは、1日当たりの食塩摂取量の目標を「6g未満」と設定していますから約半分ということになります。
漬け物や塩辛などはもちろん、ラーメンやそばなどの汁やスープ類には塩分が多く、みそやしょうゆやソースなどの調味料も塩分が多いので使いすぎないように、料理はうす味にするなどの工夫が大切です。
カリウムとマグネシウム
カリウムには、腎臓から余分なナトリウムを排出する働きがあり、マグネシウムはその働きを助けることがわかっています。
カリウムは
などに多く含まれ、マグネシウムは などに多く含まれていますから、積極的に食べると良いでしょう。ただし、腎臓病の場合にはカリウムの摂り過ぎは悪化することもあるので注意が必要です。
節酒
アルコールは一時的には血圧を下げますが、お酒をたくさん飲む人には高血圧が多く習慣的な飲酒は血圧を上げることがわかっています。
個人差はありますが、目安としてはビール中びんなら1本、ワインならグラス2杯弱、焼酎なら半合弱、日本酒なら1合、ウィスキー・ブランデーならばダブル1杯程度が適量とされています。
減量
肥満の人は高血圧だけでなく、糖尿病や高脂血症などのリスクも高く、また狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患を起こすリスクも高いことがわかっています。
肥満を改善すると血圧が下がることが明らかにされており、高血圧予防にも体格指数(BMI:体重(kg)÷[身長(m)]2)で「25未満」を目指す必要があります。
また、内臓脂肪が多い人ほど血圧が高いことから、腹囲が
を目指して減量するとよいでしょう。運動
適度な運動をすることによって、体内の血液量やホルモン、交感神経系の働きなどが血圧を下げる方向に変化します。
高血圧予防としては、散歩や軽いジョギング、ラジオ体操などの有酸素運動が良く、例えば1日30分の早歩きを3か月ほど継続すると血圧低下の効果が現れてきます。
また、毎日の通勤で少し長く歩いたり、階段の上り下りなど、日常生活のいろいろな場面で意識的に運動を取り入れる工夫もおすすめです。
禁煙
喫煙の習慣が高血圧の要因かどうかについてはまだ明確になっていませんが、タバコは交感神経系を興奮させるため一時的に血圧が上昇することはわかっています。
また、喫煙は動脈硬化を促進し心筋梗塞や脳卒中の原因となることもわかっていますから、血圧が高めの人はタバコの本数を控え、できれば禁煙をするほうがいいでしょう。
ストレス解消
心理的重圧や精神的動揺、過度の肉体的負担などによるストレスが血圧を上げることは古くから知られています。
大勢の人の前で話すときなどに緊張して脈が上がり血圧が高くなるのが良い例ですが、慢性的なストレスの方が高血圧との関係が深く、真面目な完璧主義者タイプに高血圧の人が多いといわれています。
日ごろから、自分なりのリラックス法を見つけてストレスはなるべく早く解消し心身ともにリラックス状態にすることが高血圧の予防にもなります。
以上、高血圧の予防方法について解説しましたが、お悩みの方はお気軽にご相談ください。