黄体機能不全

黄体機能不全について解説

生理不順の中で「不妊」の原因のひとつが「黄体機能不全」です。

黄体機能不全とは、黄体からのホルモン分泌が不十分になったり黄体の働きが短い状態のことを指します。

黄体とは

黄体とは、卵胞が卵子を排卵した後にその卵胞が変化したもので、「黄体形成ホルモン(LH)」によって刺激され「黄体ホルモン(プロゲステロン)」を分泌します。

黄体ホルモンは、子宮内膜を肥厚させて受精卵が着床しやすい状態にしてくれます。

黄体は、卵子が受精していなければ約12日後には黄体ホルモンの分泌を止め減衰し、月経が起こります。

もし着床が成立すると受精卵(胚)の周りに「トロホブラスト」というものが形成されて、今度はここから「ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)」が分泌されることで妊娠黄体が形成され、黄体ホルモンの分泌が続くことでより肥厚した子宮内膜が保持されて、受精卵の発育できる血管が豊富な子宮内膜を維持します。

この黄体ホルモンが不足してしまうことを「黄体機能不全」と言い、不妊原因の1つとなることがあります。

黄体機能不全の原因

黄体機能不全の原因として主に以下の3つが考えられています。

卵胞期の卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌低下による卵胞の発育不全が原因で黄体ホルモンの分泌が不足する状態や、排卵のきっかけとなる黄体形成ホルモン(LH)の大量分泌(LHサージ)が不完全で結果的に黄体ホルモンの分泌が不足したり、また子宮内膜と黄体ホルモンの感受性の悪さということもあります。

その他には、糖尿病などの全身性の病気や喫煙などの嗜好品、精神的ストレスなどによって卵巣機能不全となって黄体機能不全の症状を示すこともあります。

黄体機能不全の診断基準

黄体機能不全は、一般的に以下のような基準に基づいて診断されます。

黄体機能不全の治療

黄体機能不全は不妊原因のひとつですから、妊娠を希望する場合には治療をする必要がありますし、妊娠を希望しない場合でも不正性器出血の可能性などもあるので医師の診察を受けることがすすめられます。

黄体機能不全の治療は、その原因となる因子に対する治療が主となり、また全身性の病気がある場合はその治療も行います。

排卵が正しく起こらない原因が中枢機能の不整態と考えられる場合には、排卵誘発剤「クロミフェン」などで積極的な排卵誘発療法が行われたり、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)を投与して卵胞ホルモンや黄体ホルモンの分泌を促したり、さらに黄体期での黄体ホルモン(プロゲステロン)などの補充を加えることもあります。

黄体機能不全と漢方

前項のような西洋医学での治療は様々ありますが、黄体機能不全もふくめた不妊治療には漢方での治療を考える方も多いのです。

具体的には、不妊症に良いとされる「当帰(とうき)」を多く処方した「当帰養血精(とうきようけつせい)」を主に、その方に合った漢方や健康食品などを組み合わせて不妊症を改善します。

くるみ薬局でもこれまで多くのご相談を受けてきました。

ぜひ、一度お気軽にご相談をしてみてください。

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