「冷え症の概要」では、西洋医学の見地から解説をしましたが、漢方ではどのように捉えているのでしょうか。
冷え症について、漢方での考え方を解説してみます。
「気(き)」と「血(けつ)」
漢方では、冷え症ではない正常な状態を『「血」が温かいのは「気」がいっしょに流れているからだ』と考えます。
「血」が流れるためには「気」が必要であり、その「気」と「血」が一体になって流れているから温かいのです。
しかし、何らかの原因により「気」や「血」が不足すると、体は冷え「冷え症」となります。
そして、冷え症は「気」と「血」の状態によって大きく3つに分けて考えられます。
冷えのぼせタイプ

「血」の流れが滞っている「瘀血(おけつ)」の状態のタイプで、「気」は足りてはいるものの、その「気」を冷えている部位にまで運べないことによって冷えてきます。
この瘀血タイプでは、温かいものは上の方に昇り、冷たいものは下の方に降りるという特性があるため、上半身はのぼせ下半身が冷える「冷えのぼせ」の状態になります。
また、便秘気味で月経痛や肩こり、肌荒れなどを伴うこともあります。
足腰冷えタイプ

このタイプは、もともと体を温める血液量が不足しがちのため温まりづらい状態です。
また、水分代謝も悪く余分な水分が溜まってしまい、その水分が体を冷やしています。
余分な水分が体に溜まることによって、むくみが見られる場合もあり、頭痛や頭重感、耳鳴りや頻尿などを伴うこともあります。
末梢冷えタイプ

末梢冷えタイプは、筋肉量が少なく基礎代謝も低いために熱をつくる力が弱い人に多い状態です。
このタイプは、体の内側も外側も心底冷え、寒がりで疲れやすく風邪を引きやすいなどといった症状もあります。
冷え症に対する漢方の対処法
西洋医学では「冷え症」という病名はないため、治療には血管を拡張するビタミン類などが処方されます。
しかし、漢方では「冷え」を病気と考え、体の中から治していきます。
前記のようなタイプを見極め、それぞれの不足しているものを補ったり、めぐりを良くしたり、余計なものを排除したりと、冷えの原因にはたらきかけることで冷えを改善します。
冷え症でお悩みの方は、ぜひ一度くるみ薬局にご相談ください。