「当帰養血精」と類似の製剤とを比較してみました。
当帰養血精
まず、改めて当帰養血精について説明します。
処方中の7割が当帰・血液の健康に
当帰養血精の処方の構成は十全大補湯に似ていますが、生薬配合比の約7割を当帰が占めているのが当帰養血精の大きな特徴です。
当帰養血精は当帰単独の補血、活血、潤腸、潤経の効果に、黄耆・党参・茯苓・甘草の補気健脾、川芎の活血、阿膠・熟地黄の補血の効果が補助的に加わっている処方です。
臨床的には、冷え、貧血、不妊症、生理不順、生理痛、ホルモン変調等に効果があり、当帰の1日配合量が5gを超える製剤は他に類を見ません。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
血虚と水湿症状に
当帰芍薬散は当帰・芍薬・川芎での補血活血および潤経止痛、白朮・茯苓・沢瀉の健脾利水で構成されています。
皮膚につやがない、月経量が少ないなどの症状に、また浮腫みや軟便・下痢などの水湿のある状態に適しています。
命の母A
更年期障害向けの処方
命の母は生薬にビタミン類等を配合した女性保健薬です。
生薬の構成では補血活血・理気鎮静を中心とし、健脾利水・清熱が補助的な作用となっているので、のぼせ・イライラなど更年期向けの処方と言えます。
製剤的には生薬、ビタミン類等、個々の配合量が少なめなのが気になります。
生薬製剤はいくつかの生薬を組み合わせることで、効きめが強まったり新たな効能が生まれることがあります。
上記比較は配合されている個々の生薬の効能から処方の特徴を考察しています。