当帰養血精の特徴
当帰養血精は、更年期障害による諸症状、頭痛や肩こり、貧血や腰痛、めまいや腹痛、のぼせや耳鳴り、冷え症や生理痛、生理不順などに効果があり、特に女性に大変人気の高い漢方薬です。
また、最近増加傾向の「不妊症」に悩む方々の利用も多くなっているようです。
その「当帰養血精」の特徴について、本項で詳しく解説いたします。
当帰が処方の約7割
当帰養血精の処方の約7割(1日への配合量5.52g)が生薬「当帰(トウキ)」ということが大きな特徴です。
当帰は、古来より「女性の宝」として重宝されてきたといわれています。
当帰(トウキ)とは
当帰は、中国の甘粛省南部、四川省で栽培されているセリ科シシウド属の多年草で、茎は多く枝に分かれ高さは20~80cmになります。
花期は6~8月で、写真のように枝先に白い5弁花をつけ、長楕円形の果実をつけます。
日本では、本州の中部地方以北の山地の岩の間などに自生していますが、奈良県では大深当帰として栽培もされ、全草に強いセロリに似た芳香を持ちます。
中国の当帰は芳香も強烈なもので、その香りをかぐだけで血液の循環がよくなり、顔がポーと赤くなるほどで、その根が生薬として利用されます。
昔の中国の話によりますと、
などと伝えられています。
当帰という生薬名は、
ということからその名がついたといわれています。また、婦人病になりやつれはて夫に浮気され逃げられた婦人がこの薬を飲んだところ、病はすっかり治り前よりも美しくなったことで、それを伝え聞いた浮気していた夫が妻のもとへ帰ってきたというエピソードから「(夫)当帰」(夫、まさに帰る)と名付けられたともいわれています。
当帰は、古くから婦人の要薬として用いられ「補血調経、活血止痛」の効用があり、また「地黄」とともに婦人血虚の更年期障害や潤腸通便の作用があることから、婦人特有の便秘症にも広く用いられています。
また、中年以後の虚労、腰痛、手足の冷えやしびれに効果があるとされ男性にも多く用いられてきました。
当帰は、「血管拡張作用」「血小板凝集抑制作用」「抗炎症作用」「鎮痛作用」「抗菌作用」など多くの薬理的効果が証明されています。